ニート ひきこもり

メンタル本批評:実家からニートの弟を引きとりました

独断と偏見の感想を述べるメンタル本レビュー。今回紹介するのは「実家からニートの弟を引きとりました」というエッセイ漫画。

作者の沼津マリーさんは、20歳そこそこでいきなりインドでキャバクラをやるなど当人自体がマンガのキャラではないかというくらいの破天荒な方。そんな作者本人がニートで引きこもりの弟(ポン)を引き取り養って、社会復帰をさせようとする体験記です。

うつ解
マンガとしても面白いですね!結論は・・・

実家からニートの弟を引きとりましたの感想

面白さはあるが、参考にはしにくい

 

非常にゆるくて読みやすい

『ニート』や『引きこもり』といえば腫れ物に触るようで扱いに困る案件ですが、このマンガは作者本人の明るく脳天気な感じを全面に出しているため、非常に”ゆるくて”絶望感とは無縁になっています。

はっきり言ってメンタル関係書籍の中でも軍を抜いて「読みやすい」「明るい」という雰囲気が終始続きます。

 

親ではなく兄弟が引き取る

ニートや引きこもりを抱える親の話というのは非常に多いですが、弟を引き取った姉の話というのは聞いたことがありません。

しかもこの姉弟は年齢差も大してないため、作者はすげえなぁ・・・と感じることがいろんな場面にあります。

 

 

弟を決して否定しない理想的な対応

この作者であるマリーさんは弟を引き取ってからも、頭ごなしに否定することはなく、とはいえ放置しすぎもせず出来ることはやらせる理想的な対応をしています。

引きこもりになっている子供に対して一番やってはいけないことは「否定」です。後述しますが否定していいことは何もなく、まずは当人の「存在」、「人格」を肯定して、生きる自信を傷つけないことはなによりも重要です。

しかし作者はそういったことを詳しく勉強したわけではないにも関わらず、理想的な対応をやっているのですから驚きます。

後に専門家との対談でも『肯定し最小限の干渉』という対応を褒められています。

 

斎藤:マリーさんのポン太郎君への対応は、ほとんど理想だと思います。親御さんの代わりに説教してしまう場合も多いんですが、マリーさんは彼を肯定して干渉も最小限。それがとても上手くいった。干渉しないというのも難しくて、放置になるとマズいんですけど。

マリー:しょっちゅう話したりはしていましたね。父は子どもを自分の思うとおりにしたいタイプなんですけど、それはポン太郎には合わないと思っていて、私はそれと逆のことをしようと。

斎藤:さすがですね! マンガの中のお父さんのセリフは説教の定番なんです。ニートやひきこもりのご家庭は、どこでもこんな感じ。でもご両親が偉いなと思うのは、ポン太郎君に対して、パソコンを壊したり回線を切断したりはしなかったところですね。

マリー:切ろうという話もしていたみたいなんですけど、生き甲斐がまったくなくなってしまうと思ったみたいで。それをやって好転するパターンってあるんですか?

斎藤:まずないですね。それどころか非常にリスクが高くて、子どもがキレて殺人事件に発展してしまうケースもあるんです。ポン太郎君を尊重したご両親は、本当に賢明だったと思います。

引用:https://ddnavi.com/news/276368/a/

 

目から鱗が落ちたシーン

読んでいく中で非常に感心をしたシーンがあります。

それは親の小言の真実

子供がニートや引きこもりになった親というのはよくも子供に対してもっともらしい説教を行います。

典型的なお説教

  • そんなんじゃ社会で通用しない
  • このままじゃ将来苦労するんだぞ
  • お前は駄目だ。それがわからないのか
  • お前のために言っているんだ

しかしこういったお説教というのは当人のために言っているようで、実は『言っている当人の不安をぶつけているだけ』なんです。

実際にこのようなお説教が当人のためになるケースのほうがレアであり、大抵はより子供の心を傷つけて、親に対して心を閉ざすようになるだけ。

非常にわかりやすく、かつ的確な表現のため目からウロコが落ちたくらいでした。

 

 

ニートで引きこもりなのに悲壮感のない弟

とはいえ参考になるか?と聞かれれば正直「No」と言わざるをえません。

というものの、このマンガにでてくる引きこもりニートの弟は、ニートであるにも関わらず大した悲壮感も絶望感も持っていないどころか、非常に自己に対する強い自負心を持っています。めっちゃくちゃ自信があるんです。ニートなのに!引きこもりなのに!

この点は作者も疑問をもって、専門家とのインタビューも行っています。

しかし昔は成績が良かったけど高校に入って失敗して不登校になったという典型的なパターンにもかかわらず自信をなくさず自己肯定感もなくしていません。専門家も決定的な理由がわからず、幼少期に母親に全肯定されて育ってきたという点を指摘するのみでした。

私の個人的感覚ですがニートや引きこもりと出す家というのは家庭環境が正直よろしくないところが多数派であると思っています。だいたいどこも幼少期は暴力を受けていたとか、ネグレクトだったとかいう家庭が多いですよ。そのため幼少期の自己肯定感を作ることに成功した沼津家のケースはレアであるという感想を持たざるを得ません。

そういう意味でこの漫画の沼津家はレアケースであり、典型的な自信をなくして自己肯定感をもてない引きこもりニートとは前提条件が違っているので参考にならないと結論づけています。

■ニートなのに何でウチの弟は自信があるのか

斎藤:『実家からニートの弟を引きとりました。』を大変面白く拝読しました。弟のポン太郎君は、高校で不登校になってニートに。ゲームを始めたのはいつですか?

マリー:小学校1年生の頃にはもうネトゲをしていました。早熟でビビりますよね。今はゲーム関係の専門学校に通っているんですが、学校のない日は1日10時間くらいやっています。

斎藤:社会性はありますよね。

マリー:そうですね。でも、なんか人に対して威圧的で(笑)。ネトゲの仲間にも、偉そうなことばっかり言ってるんですよ。自己評価が高いんです。自分は人より優れてるみたいな。

斎藤:なるほど! 実はそれ、ポイントなんですよ。ポン太郎君は、私が診ているいわゆるニートやひきこもりの方とかなり違うんです。ゲームに圧倒的自信を持っていて、確信的にやっている。

マリー:へえ! 普通の方は?

斎藤:俺なんかダメ人間で死んだほうがいい、と意識をこじらせているんです。自信はポン太郎君のすごい強みですよね。ひきこもり問題の本質と言ってもいい。彼は何で自信があるんですかね? すごく知りたいです。

マリー:うちは教育熱心で、ポン太郎は中学生までは勉強ができる子だったんです。それで多分、人より優れているみたいな感覚が、自分の中にあったと思うんですよね。

斎藤:頭がすごくいいんですね。

マリー:でも高校に入ったら上手くいかなくて。それまでの努力をしなくてもできた自分が、崩れてしまった。

斎藤:それは不登校に多いパターンで、普通はそこで自信もなくすものなんです。だからポン太郎君の自信は本当に素晴らしいんですが、なぜそうなれたのか秘訣がわからない。それがわかると、私の普段の治療のヒントにもなると思いまして。ご両親の小さい頃の育て方がよかったんでしょうか?

マリー:大事にされてましたね。三人姉弟の末っ子で、小さい頃からすごくかわいがられて。母は天使みたいだったって言ってますし、今も沼津家の王子扱い(笑)。

斎藤:幼少期の無条件の肯定は、自信や自己肯定感の基本なんです。ニートになっても、お母さんの肯定感はずっと変わらなかったわけですね。それは非常に大事なポイントでしょうね。

マリー:そうなんですね! なんであんな自信満々なんだろうって、ずっと不思議で。

斎藤:そうですよね。人が自信を持つ要素は3パターンです。一つは自分の社会的ポジション。二つ目は人に承認されているという人間関係。三つ目は自分のやってきた仕事や実績。ひきこもりだと全部ないわけで、自信がないのが普通。でも弟さんは無根拠に自信がある。一番いい自信の持ち方ですよ。何もないのに自信があるという素晴らしい人。僕はそういう方を、“超人”と呼んでいます。ぜひそのまま自信を持ち続けていただきたい。

引用:https://news.nicovideo.jp/watch/nw1949726

 

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